【ゴルフ上達マップ26】バンカー内のスイング

一生楽むゴルフの基礎講座~通称・いちごる!がお送りする、ゴルフ上達の道しるべ26回目。

ここ数回のテーマは「ラウンドで練習通りにいかないワケ」。

その一つにⒷ傾斜を含むライの影響がありました。

前回は傾斜の対応について紹介しましたので、今回はフェアウェイにないボールの状況の代表格「バンカーショット」について解説します!

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バンカーショットは特殊なショットか?

バンカーショットが得意という方はどのくらいらっしゃるでしょうか?
プロや上級者の方だと「グリーン周りやフェアウェイ横のラフに入るよりも、場合によってはガードバンカーやフェアウェイバンカーに入った方が計算しやすい」と言う方がいらっしゃいます。

ですがこのサイトが対象としている一般アマチュアゴルファー(アベレージ90超)の方の多くは、バンカーショットに苦い思い出をお持ちの方が多いのではないでしょうか??

ここでは、バンカーショットをフェアウェイバンカーとガードバンカーに分けて、打ち方を解説します。

ここでお伝えしたいことは、「バンカーショットは思っているほど特殊な打ち方ではない」と言うことを知ってもらい、練習場でもできる練習を行うことで、自信を持ってバンカーショットを打てるようになっていただければと思います。

特にガードバンカーについては、いわゆるエクスプロージョン(砂の爆発)によりボールをバンカーから出しますが、その打ち方については、さまざまな指導法があるが故に、一般のアマチュアの方の中には、それが特殊な打ち方だと勘違いしてしまっているケースが多く見受けられます。

世の中の数あるバンカーショットの打ち方に関する指導法は、基本的には間違っていないとは思われますが、時にプロや上級者が行っていることをそのままアマチュアの方に伝えてしまうと、なかなか上手くいかないことも多いと考えています。

いちゴル上達マップで、お伝えしているバンカーショットのスイングは、真新しいものではありませんが、私が知る限り最も簡単な考え方をお伝えしています。

そして、結果的にこの打ち方は、他の多くの指導法とも矛盾しない、ということが理解でき、読者の皆様の混乱も解決できるのではないかと思います。

スイングの本質は他のショットと同じ

まず大前提にあるのが、スイングの「本質」は、他と何ら変わるものではない、ということです。

よくあるのが、「砂を叩け!」というアドバイスそのままに、いつもと異なる勢いで(大体の場合は通常スイングよりも強く)スイングすることがありますが、それではスイングの「本質」から外れてしまいます。

「強く叩く」ようなスイングは、【ゴルフ上達マップ04】でお伝えした「ゴルフスイングはナチュラルで気持ちの良いモノ」という点から逸脱します。

バンカーショットは、いくつかの工夫を除けば、スイングは基本的には通常のショットと変わりません。なので、通常ショットでスイングの本質を体得できていれば、大きな悩みを抱えるショットにはなりません。

ですが、このブログの想定読者はave.90超の一般アマチュアゴルファーですので、まだ、「通常のショット」についてもスイングの本質の習熟度が高くないがために、「いつも通り」振ってもバンカーから上手にアウトできない可能性はあります。

ただ、それは「フェアウェイでダフって意図した距離が打てなかった」ミスと同じようなものです。多くの方は、バンカーから出ない経験が強く残ってしまうがために、バンカーに苦手意識を持ちやすいですが、最初はショットの再現性が高くないので、バンカーだから、という特別な苦手意識は持たないようにした方が良いと思います。

バンカーショットで注意すべきこと

前節で「いくつかの工夫を除けば」スイングは基本的に通常ショットと変わらない、と記述しました。以下に、フェアウェイバンカーとガードバンカー(グリーン周りのバンカー)について、工夫すべきポイントについて説明します。

  • 何が通常のスイングと相違するか~スイングの最下点の観点から

通常のスイング、フェアウェイバンカーとガードバンカーで、スイングの注意点は異なる部分がありますが、ここではまずんその背景にある考え方をお伝えします。

それは【上達マップ07】で紹介した「スイングの最下点」という考え方です。

また、【上達マップ07】で述べた通り、ゴルフスイングにおいては、クラブヘッドはある種の円運動をしている状態にあり、その軌道には「最下点」が存在することを説明しました。

通常のショットは、いわゆるダウンブローに打たれることで、スイングの最下点は、飛球線方向に対してボールの先(ターゲット側)になります。(プロのショットでは、その結果ターフを取るようなショットになる)

一方で、フェアウェイバンカーとガードバンカーはどうでしょうか。

フェアウェイバンカーについては、究極的には通常ショットと同じ最下点になれば、フェアウェイで打つときと同じようなショットが打てるようになります。

ですが、万が一スイングが狂いボールの手前から入った場合、フェアウェイで少しダフった場合に比べて大きく距離をロスします。この「リスク」を考慮した場合、多少トップするほうが、誤ってダフるよりのミスの結果は望ましい場合が多いです。したがって、以下ではこの観点を考慮したスイングの注意点を記載しています。

一方、ガードバンカーはどうでしょうか。これは、以下に記載の通り「ボールをクリーンに打ちに行くリスク」が大きいため、いわゆるエクスプロージョンショットで対応します。これは言い換えれば、通常のショットよりも「スイングの最下点がボールの下(地中側)」であるといえます。以下のガードバンカーでのスイングの注意点は、この点を考慮した対処になります。

以上の通り、通常のショット、フェアウェイバンカー、ガードバンカーなどの状況により、「スイングの最下点をどのようにアジャストするか」において違いはあります。

ですが、その違いを踏まえたうえであれば、実際のスイングは基本的には「いつも通り」であるという点は、理解しておいた方が良いでしょう。

  • フェアウェイバンカーでのスイング

まずは、フェアウェイバンカーから。フェアウェイバンカーでは、ガードバンカー(グリーン周りのバンカー)で要求されるような、エクスプロージョン(特殊な打ち方のように思われる打ち方)は基本的には(*1)必要ありません。

(*1)「基本的には」というのは、一つはフェアウェイバンカーでもあごの高いバンカーである場合は、エクスプロージョンさせて高い球で脱出を試みなければならないケースがあります。また、フェアウェイバンカーでも残り距離がフルショットの距離ではない場合(40〜70ydなど)、クリーンに打つのか、できる限り薄くエクスプロージョンさせるのか、といった判断が必要な場合があります。


時に「バンカーショットの打ち方」としてガードバンカーでの打ち方(エクスプロージョン)を教わった方は、ガードバンカーとフェアウェイバンカーを区別せず、一様にエクスプロージョンで出す方もいらっしゃいますが、フェアウェイバンカーは、基本的にはグリーンまでの残りの距離が長くいため、エクスプロージョンでの対応は必要ないことが多いです。

この通常のスイングで打つ距離のバンカーは、エクスプロージョンよりも、よりイメージしやすいかと思います。

【フェアウェイバンカーのポイント】

①足場はある程度固める(足をぐりぐりして砂の上の不安定さを解消する)

②クラブはやや短く持って、ボールの位置は普段よりボール1つ右側に

③何よりも「力まない」こと(ナチュラルなスイングを心がける

振り方は、いつも通りでよく、上級者の方はほとんど何も考えずに通常のスイングをしている方もいらっしゃいますが、初中級者には、よくありがちなミスが起こる可能性があるため、いくつか注意点がいくつかあります。

①足場はある程度固める

砂地のショットでは足場が不安定になりやすいため、砂の柔らかさに応じて足場を固める必要があります。

②クラブは短く持って、ボールの位置は普段よりボール1つ右側に

フェアウェイバンカーではある程度距離を打つことが求められますが、バンカーの性質上少しでも手前から入ると(ダフってしまうと)大きく距離を落とすことになります。このため、ダフることを極力避けられるような工夫が必要になります。


まず①で砂地に足を固めている分、ボールとの距離は近くなっており、これを補正するためにクラブはやや短めに持つとよいかと思います。また、同様に通常の場合よりもボール1つ右側に置くことで、ダフるリスクを回避したセットアップをすることをお勧めしています。

③何よりも「力まない」こと

3つ目は、何よりも力まないことです。これは[2.スイングの本質は他のショットと同じ]で記載の通りです。


ナチュラルな動きとしてスイングができなくなったとき、トップ、ダフリ、スライス、フックなど様々なミスを誘発します。このバンカーショットも同様です。

なかなか難しいことかもしれませんが、まずは「不安や恐れからくる力み」がさらなるミスを誘発することを理解して、力まないように注意することが重要です。

■具体的な注意点■

・まず、力みは基本的には(右利き右打ちの場合)利き腕から生じるものですので、「右手は添えているだけ」という意識で振るとスイングが改善される方向に働く場合が多いです。(ちなみに、これはその他の通常のショットでも同様に心がけるとよい意識になります)
・また、スイング幅も、フルショットで振ってしまうと力みやブレが生じやすいので、コントロールショット気味に振ることを心がけるとよいと思います。
・さらに、意識としては、「飛ばそう」とするのではなく、「6~7割でも飛んだらいいや」と要求水準を引き下げて気楽に打つ意識のほうがかえってうまくいくことが多いです。

ここでの3つの注意点を常に心がけて、少しでも多くの成功体験を積むことが、精神的不安から抜け出すポイントになるかと思います。

  • ガードバンカーでのスイング

次に、より難しいショットに感じさせるガードバンカーでのスイングについて説明します。

ここでは、砂を爆発させた勢いでボールを飛ばす、いわゆる「エクスプロージョンショット」が求められます。

最初に、なぜボールを直接打ちにいかないかについてですが、これはバンカーショットでは、「ボールと地面の間に空間がない」状況であるため、ボールを直接打ちに行く際のリスクが極めて大きくなるためです。

通常のフェアウェイの芝から打つ場合は、ボールは地面と接地しているように思われますが、実は芝生の上に乗っているだけで、地面との間には「すき間」があります。これによって少し手前からクラブが入っても(多少ダフっても)ボールの飛距離への影響はあまり大きくなりません。逆に地面と接地している状態にあるバンカーでは、少しでも手前からクラブが入ると、間に砂が入り込み、距離は大きく減少することとなり、ミスの振れ幅が大きくなります。

ここで、採用する方法が、あえて砂ごと打ちに行くことで、距離が落ちることを前提としてスイングする方法=エクスプロージョンです。

プロのような高度にクラブを操作できる方でさえ、バンカーショットではエクスプロージョンを採用するのは、そのほうがやはりミスの振れ幅を抑えられるからです。

一般のアマチュアゴルファーにとっては、確かに難しいショットのように思えますが、それでもクリーンに打とうとするよりもよほど簡単にバンカーから脱出できることには変わりません。

さて、このようなエクスプロージョンを利用したショットですが、その打ち方には様々な指導のされ方があります。

・砂にダフらせて打つ

・ボールの手前○○センチからクラブを入れる

・砂をクラブヘッドでドスッと叩く
などなど。

これらそれぞれ別々の表現をしていますが、実際はやることは大きく変わらないと考えています。ただ、これらの指導法の問題点は、「ある1点を打つ意識」や「力いっぱいに打つ意識」に結びやすく、それゆえに(何度も繰り返しますが)「ナチュラルな動作」ではなくなってしまい、ミスを助長しやすいという点です。


私が受講生にお伝えする際は、基本は「通常のスイングと同じ」ということを前提として、エクスプロージョンさせるために、いくつかの変更点を紹介しています。

【ガードバンカーでのスイング(エクスプロージョンショット)のポイント】

①足場はある程度固める(少し足を砂地に潜らせる)

②クラブのフェースは、多少開く(変更点❶)

③スタンスは多少開き、腰を落として構え、ボールの位置は真ん中(かやや左)に置く(変更点❷)

④距離が通常のスイングよりも2分の1から3分の1に落ちるので、L字スイング以上で振る。(変更点➌)

⑤何よりも「力まない」こと(ナチュラルなスイングを心がける)

ここでは、前述したフェアウェイバンカーのスイングとの変更点を①~③として挙げています。


(変更点❶)クラブのフェースは多少開く

これはエクスプロージョンでボールを飛ばす場合、砂ごと打つことになりますが、通常通りフェースをセットして打ちにいき、クラブヘッドのリーディングエッジから砂に入ると、リーディングエッジが砂に突き刺さり、ヘッドがうまく抜けず、結果として砂に埋もれるだけで、砂ごとボールを飛ばすことができなくなります。

この点、クラブの底の裏側(バンスといいます)から砂に入れることができると、クラブの構造上、砂に埋もれすぎることなく上手に砂を飛ばせます。このような意図で、クラブのフェースは多少開くことが必要(*2)になります。

また、「多少」というのは、飛ばしたいボールの距離などによって変わってくるため、このような表現になります。

遠くに飛ばしたいときはやや閉じて、飛ばしてはいけないときはやや開き目に構えるのが基本となります。

(*2)ただし、砂が湿っていてかなり固い時や、砂が薄くてボールの下にクラブが入るすき間がないような場合は、バンスをからクラブを入れようとしても、クラブが固い地面にはじかれてしまうため、このような方法はとれません。この場合は逆にリーディングエッジからヘッドを入れて、キチっとボールの下にヘッドが潜るように振る必要があります。

(変更点❷)スタンスは多少開き、腰を落として構え、ボールの位置は真ん中やや左に置く

このようにする理由は、フェアウェイバンカーとの比較でいうと、フェアウェイバンカーがボールをクリーンにとらえることを意図しているのに対し、エクスプロージョンではあえて砂ごと打つ(ある意味ダフらせて)ことを意図したスイングであるためです。

フェアウェイバンカーでは、ダフらないようにクラブも短く持ちますが、ここでは、そうする必要はなく、必要に応じて腰を落として、クラブヘッドがボールの少し下を通過するように準備することが必要になります。
また、同じ理由で、ボールは右に置くとクリーンにとらえやすいですが、ここではその逆の真ん中やや左にボールを置くほうが意図したスイングを行いやすいです。

(変更点➌)スイングの振り幅は大き目

エクスプロージョンさせる場合は、ボールとヘッドの間に砂が入ることになり、大幅に飛距離が落ちます。
砂を取る量にもよりますが、だいたい2分の1から3分の1に距離は落ちますので、例えば20ヤードキャリーをさせる場合でも、芝生の上で打つ場合における60ヤードくらいのスイング幅が必要になります。以上の変更点を加えれば、エクスプロージョンをさせる準備は整いました。 

そのうえで、何よりも力まないこと=ナチュラルなスイングを心がけること、また体を安定させるために多少足の踏み場を固めることが、ダフリ、トップ(バンカーでクリーンに打ってしまうことをホームランといいます)、といったミスを防ぐポイントです。

この「必要な準備をしていつも通りナチュラルスイングする」という考え方が、僕としては最も混乱や勘違いをさせることのない、バンカーショットでのスイングだと考えています。

仮にこのように振った場合、他のバンカーショットの指導方法、例えば

・砂にダフらせて打つ(→腰を落としてナチュラルスイングした結果、「ダフったような」現象が起こる)

・ボールの手前○○センチからクラブを入れる(→同様にナチュラルスイングをした結果、ボールの何センチか手前からクラブが入っている)

といったことも、結果的に実践したことになります。

(「砂をクラブヘッドでドスッと」という教え方もありますが、こちらはどちらかというと固いバンカーでリーディングエッジからヘッドを入れるとき(少し例外的な打ち方)のイメージに近いかと思います。)

それでいて、ゴルフスイングの本質であるナチュラルなスイングをベースにしているため、「いつも通り振ればいい」という楽観的な気持ちでショットに臨める点で再現性が高くなると考え、この指導法を採用しています。

オススメのレッスン動画といちごる的補足~まとめに代えて

最後にいくつかのYouTubeのバンカーショットレッスン動画を、上記いちごる的なバンカースイングの補足と関連付けてお伝えします。

ここではグリーン周りのバンカーショット(エクスプロージョン)の方が、一般的には苦手意識の多いショットと考えられるためこちらに限定して紹介します。

①タイガーウッズのバンカー練習動画~ナチュラルなスイングが基本

まずは、いちゴルで一番伝えたいバンカーショットの基本は、「スイングは基本的にはいつも通りだ」という点です。こちらの動画のタイトルの通り、力む必要はありません。

また、エクスプロージョンショットの場合は、打ちたい距離に必要なスイングスピードは、実際のショットよりも速いヘッドスピードが求められます、(上述の通り、ボールとクラブヘッドの間に砂が入る分、飛距離が減るため)

なので、例えば、15ydキャリーさせたい場合は30~45ydくらいのショットをするつもりでスイングする必要があります。この点の認識がなかったり、もしくは「知っていてもホームランするのが怖くて」スイングスピードが遅くなってしまう(スイングが緩む)のもいけません。

砂を爆発させようと(叩こうと)して力むわけも、怖がって緩むわけでもなく、「意図したスイングをいつも通りのリズムで行う」という点では、こちらの動画のタイガー・ウッズ選手のスイングは参考になります。

②石川遼選手のレッスン動画


「フェースを開く」という点は、「バンスを使うことによって」クラブが砂に埋まるリスクを軽減するためのものであって、バンカーショットの本質ではないということを説明しています。

また、動画3:00付近で、フェースを開いた結果、「怖くて打てない」「トップしそう」というアマチュアの意見を紹介しています。

いちごるでは、上述の通り、スイングの最下点をアジャストしたうえで「いつも通りのナチュラルなスイングが第一」だと考えています。

フェースを開くことが精神的な恐怖を招き、ナチュラルスイングが出来なくなるくらいであれば、石川遼選手が紹介している「フェースを開かないバンカーショット」も採用する価値はあると思っています。

バンカーショットは、「そのための対処をしたら、スイング自体はいつも通り」と考えて、「特殊なモノ」と思い過ぎないようにすると、再現性高くナイスアウトが出来るようになるかと思います。

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